Diary

2008.5.12008/5

木暮です。
僕の住んでいる部屋は古いアパートの1階で、ベランダが近隣住民しか通らないであろう小道に面している。先日、そこにいつものように洗濯物を干しておいたら、何故かユニクロのジーンズだけ盗まれた。他にもパーカーやTシャツなど色々干してあったのだが、何故かユニクロのジーンズだけが持ち去られていた。買えよ、このやろう。
先日、スタジオの帰り道をいつものようにゆるゆると自転車で走っていたら、折りたたみ自転車に乗った「SEXIEST」とプリントされたパーカーを来た若い男が、手放し運転をしながら、「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」と、道行く人が振り返る大声で叫んでいた。暖かくなってきたなー。ゴールデンウィークの東高円寺は人が多かった。家の近くの道には電柱にもたれかかってうなだれたままの中年男性がいたらしい。酔っ払っていたのか、世相に毒されたのか。

最近PCが壊れてアイポッドに新譜を入れられないので、ポータブルCDプレーヤーで音楽を聴きながら自転車に乗ったりしている。スタジオまでの時間に合わせて往復でアルバム一枚を聴く。シャッフルにして曲をどんどん飛ばしてしまうのが癖になっていたので、こういう聴き方は新鮮で楽しかった。i-tunesで曲をダウンロードしている友人に言わせると、「アルバム」なんていう単位はもう意味を失くしかけてるらしいが、一曲単位で聴かれるということであれば、50年代頃の感じに戻っているのかもしれない。ただ違うのは、膨大な量のアーカイブスが、金さえ払えばいつでもアクセスできる形で管理され、存在しているということだ。メジャー配給ならYOUTUBEでPVも観れる。イースタンユースの二宮さんの友人は、アマゾンでも見つからないレアなレコードだけを集めた店を経営しているそうだ。マイスペースではスイスの14歳の少年の脳内で鳴っていた音楽が聴けたりする。世界にはまだまだ自分の聞いたことがない素晴らしい音楽がたくさんあって、昔はそう考えて焦燥に駆られたものだが、今はただ単純にワクワクする。
昔から友達の車やフロアで何度も聴いて、いい曲だなーと思いながら名前がわからない曲がたくさんあって、その中の一つを見つけたのはレコード屋のウェブサイトだった。「ハイテック・ジャズ」という曲。
野田努という人の本を読んで、僕はその曲名もその曲を作ったデトロイトのアーティストの活動背景の一端も知っていた。初めて聴いてから何年も経って曲と名前が結びついた。「そうかあの曲が、あのハイテック・ジャズだったのか。」
レコード屋で働く友人にその話をしたら、今さらかよ、と言って笑っていた。

数本のインタビューで珍しく歌詞について聞かれたんだけど、全くうまく答えることができなかった。「あなたは何故そんな顔なんですか?あとTシャツに乳首がはっきりと浮き出ていますよ?」と突然言われて説明が難しいのと同時に恥ずかしいというような感じ。
一人で取材を受けたインディーズ・イシューという雑誌は、音楽誌の中でも割とメジャーなものからマイナー・アンダーグラウンドなものまで幅広く載っていて、コラムも面白いし読み応えがある。廃刊になってしまったブラストというヒップホップ専門誌の、辛口なんだけど愛情が感じられて好きだったライターのコラムがREMIXで終わったと思ったらインディーズ・イシューに移っていた。取材の時久し振りに編集の岩崎さんと話した。東北沢から横浜までママチャリでKaikooを観に行ったらしい。ライターの高橋美穂にも会った。相変わらずベルギーの子供みたいな顔をしていた。
アジアンゴシックの事務所には見晴らしのいいベランダがあって、ヒロシが事務所内禁煙という阿呆なルールを作ったので、喫煙者はそこで棒から煙を吸い込む作業に勤しむ事になる。取材に来てくれたライターの人たちともそこで世間話をしたりする。松木嬢と井の頭通りの事故の話をした。小野田氏からよく行くイベントの話を聞いた。鹿野氏はスタジオが見たいと言って、スタジオで煙草を吸いまくりながら渋いテレコを回していた。こういうことは覚えているのだが、取材で何を話したかはほとんど覚えていない。うまく答えられなかった質問だけ覚えていて、スタジオに向かう途中でその答えを思いついたりする。
友達が一年くらい隔月でやっていた飲酒音楽鑑賞舞踏会が今日で終わりらしい。スタジオが終わったら裏道を選びながら、三軒茶屋まで行ってみよう。夜中の徘徊は楽しいし。

さて、ノイズ・アディクト聴きながら牛乳でも飲むか。