Diary

2014.5.30日記

吉村さんとの初対面がいつだったのか、よく覚えていない。知り合った頃はよくまーちゃんと飲みに行ってて、当時のシェルター店員から苦情混じりの酔っぱらいの顛末を聞いたりした。2ndか3rd、どちらかは忘れてしまったけど、僕たちのレコ発にブッチャーズで出てもらった時、「お前の好きな曲やってやるよ」と言って、セットリストになかった LOST IN TIME を聴かせてくれた。最初の会話の断片を覚えてくれていた。foulとのスプリットに収録されている音源よりずっとヘヴィーな演奏だった。

どこかのライブの打ち上げで荒井と2人、ソースを一瓶一気飲みさせられて盛大に吐いたり(荒井は吐かなかった)、「飲め」「歌え」「脱げ」「筋トレをしろ」…知り合うほどに典型的な先輩風を吹かせてきたのには閉口した。年上を傘に着る奴は元々嫌いだったけど、友達の大切なパーティーの時に目に余る酔態をさらしていたので、「いい加減にして下さいよ」と諌めたら一方的に数発殴られケンカになった。次に会った時、すごく気まずそうにしていたので、「こないだは失礼しました」と言ったら「おう」という素っ気ない返事。おうっ、て何だよ!このジャイアンめ!と思ったけど、その後一緒にいいちこ飲んでたらケンカのことなんか忘れてしまった。たしかフィーバーの楽屋。

アメリカからモックオレンジとプラス・マイナスを呼んでツアーを回った時「飲まないと緊張して歌えない」と、昼からいいちこを飲んでた。打ち上げのあと、ホテルの廊下で「腕立てをしろ」と言われたので、「嫌です」と断ったら、じゃあ俺がやるのを見てろ、と腕立てを始めた。壁に寄りかかって煙草を吸いながらそれを見てたら、五回くらいでやめて、「お前それが先輩が腕立てしてるのを見守る態度か」と平手打ちをしてきたので部屋に帰った。翌日、「お前昨日逃げやがって」と言われたから「そりゃ逃げますよ。だって怖いんだもの」と言ったら、なぜかとても嬉しそうに「俺、怖いか〜?」と笑っていた。

大船渡で倒れた時、病院に見舞いに行ったら意外と元気で、「被災地で倒れるなんて真似できねーだろ?」と言いながらアイスを食ってた。

カウントダウンの幕張で酔っぱらったトシロウ君に「あんた酒やめろよ」と絡まれてた時は、「落ち着けトシロウ。だいたいまず酔っぱらいに言われたくない」と的確な答えを返してて笑った。

まーちゃんが倒れた時に荒井とフィーバーでケンカしたこととか、色々思い出して書こうと思えばまだまだ書けるけど、吉村さんの事を考えて最初に思い浮かんだのはその種のエピソードではなく、大人数の中でどこか所在なさげにしている姿だ。酒の入った透明なカップを片手に、話に加わるでもなくただそこに立っている。もしくはペパーランドの外のベンチで1人でギターを弾いてる姿。toddleのライブ会場の外で1人で煙草を吸っている姿。

若くして死んだ者はその可能性を惜しまれ、老いて死ぬ者はその記憶を惜しまれる、と僕の好きな漫画に書いてあった。人より記憶力に劣る僕はいつまで5月27日の電話を覚えているだろうか。きっといつか忘れてしまうだろう。そしてシャッフル機能の気まぐれで再生されるkocoronoやLOST IN TIMEを聴くたびに思い出すだろう。淋しがり屋の裏返しからくる不器用な理不尽さにムカついたこともたくさんあったけど、もう会えないと思うとやっぱり寂しい。自分勝手ですいません。
そう言えばこの地下室で一緒に歌詞を考えたこともありましたね。

また会えますかね?また会いましょう。