Diary

2008.10.12008/10

木暮です。
10月21日
昨日に引き続きスタジオで練習。とても気持ちの良い秋晴れだったので、午後の匂いがするうちに家を出る。新しい自転車が大変調子よろしく、慣れた道のりもまた楽しい。珍しく早めに4人集合したのでセットリストを通したり、ぐだぐだ話をしたり。帰り道は少し寒いかと思って上着を着たけど、家に着く頃には汗だくになってしまった。
今はもう解散してしまったエンシェント・グリークスというバンドのナサニエルからメッセージが来ていて、久々に彼のマイスペースを覗いたら、いい感じの曲が・・・そんなきっかけで色々なリンク先へ飛んでいろいろな音楽を聴く。ライアン・グリシャムの新曲がとてもよく、何度も聴いた。

10月22日
シェルターのリハーサルまで時間があったので、荒イと飯を食った後 (荒イはつくね定食を注文した・・・)、雑貨屋で何冊か文庫を買う。探していた永井荷風は置いてなかった。そのあとユニオンで中古コーナーをチェックしていると、「官民一体となり国事に尽くしましょう。リハノジカンデス。」という宮下からの電話。そしてそれは嘘だった。宮下は女のことで頭が一杯なのである。
いつの間にかシェルターも人が入れ替わっており、知った顔も少なくなった。
DOLCEは観る度に少しづつ変わっている。エフェクターの増えたツカサ君の作るノイズがとてもいい。MY WAY MY LOVEの村田君の音も色々なアイディアが散りばめられていて刺激的だった。
打ち上げで3P3Bの社長、OZKと色々話す。ヒロシとはまた違う視点の話。ジョージが来て、サイプレス上野とロベルト吉野とスコッチ・エッグの音源を貸してくれた。その後、ココバットのセイキボーイとスウェーデンRECの話をした辺りから、いい感じに記憶が曖昧に・・・。

10月23日
起きたら3時。昨日買った本や漫画、読みかけの本などランダムに読んだり、アート・リンゼイ、コンバージ、サイプレス上野~など、昨日勧められたものを気の向くままに聴く。カレーを食いに出た帰り、川崎からの電話をきっかけに、ケイプランの不思議野郎・ミカミがまた不思議ちゃんぶりを発揮していることに気づき、西武線の線路に怒りのカレー嘔吐をかましそうになる。感情をコントロールするために、イーブンスを聴いて頭をふにゃりとさせてからポップコーンをついばむ。まるでハトのように。

10月24日
9時半に東京ガスの点検の人に起こされる。寝起きの悪い自分をコントロールするために、「秋の雨は憂鬱ですな・・・珈琲でも如何ですか。」と、無駄にフランクな人間を装ってみるが、「気を使って頂かなくても結構ですよ。」と、あっさり断られた。しばらく雨の音に聴き入って、ループ感の元は向かいの家の自転車カバーだということを発見し、テレビをつけると
「泰葉ブログ閉鎖!涙の理由は?!」というテロップのついた画面。消す。
しばらく部屋の中でオロオロした後、白木秀雄「祭りの幻想」を聴く。大変格好良くてうれしくなる。いつかこんなドラマーになりたいなー。夕方からスタジオにて右脳と左脳をぐるぐる回したり、ROLLIN’045を口ずさんだりしていると、あっという間に21時だった。

10月26日
入り時間の一時間前にヒップショットに到着し、タイ焼きを食っていると、「タイ焼き屋の前に変な集団がいるなー、と思ったら君達だったよ。」店長の前田さんと再会し、ガッドの話などをしつつゆっくりとリハーサルをする。ライブでは耳栓を試してみたが、あまり意味がなかった。ヒップショット10周年の打ち上げは、ライブハウススタッフ、ゼリーチームと一緒に温泉旅館にて宴会形式。最初のうちは美味い肴に舌鼓を打ち、静かに酒を舐める渋い宴だったが、午前3時頃には宮下の嘔吐する声がタイル張りの便所全体に反響し、リバーブ効果で増幅された低音部分がうるさいんです、と他の宿泊客から苦情が来るほどの妙な盛り上がりを見せたのであった。オールドスクールなヤンキー・スタイルで、メンバー同士の契りを交わしていたゼリーの4人。小雨と露天風呂。いい夜だった。前田さん、10周年おめでとうございます。

10月27日
爽やかな秋の朝に東北道を走る白い襤褸車。窓から吹き込む少し冷たい風が、ダルそうな顔でハンドルを握る皮裂キの眠気を覚ましてくれているようだ。助手席の俺は「空洞です」をかけた。陽が差し込む後部座席では、「人間はどこまで微妙なくすぐりに耐えうることができるか」というテーマの実験が行われていた。実験者は覇ラ、被験者は宮下である。車窓に流れる紅葉に彩られた山肌と、ミニマルに反復されるビート、「狂う」という宮下の奇声。秋ですな。
ウエストに着くと、久し振りにタケシがいてセットを組んでくれていた。しつこくモンスターハンターをやり続けているらしい。何年かぶりに舞台袖から観たプラス・マイナスの演奏は円熟味が加わっていて素晴らしかった。新曲に変拍子のものが多かったので、ジェームスに「7拍子にハマってるの?」と訊くと、「FUCK YEAH!」と答えてきて笑った。
疲れていたので打ち上げには出ず、荒イとバーミヤンで餃子を食って帰る。バンド・アパートには世間に公表されていない「バーミヤンのうた」という曲があり、俺は街でバーミヤンでを見かけたりすると、自動的に心の中でそのメロディーを口ずさんでいます。

10月28日
昼過ぎに起床。わかめスープを啜りながら、ヒロシが貸してくれた自転車のDVDを観る。大いに刺激を受け、スーパーに買い物に行くついでに色々試してみる。今日みたいな気候の日に自転車でゆるゆる走るのは本当に楽しい。帰ってから、昨日谷君がくれたアンチェインのサンプル盤、サケロックの新曲、CAN、ルーズ・ジョインツ、モブ・ディープの1stなどを気の向くままに聴きつつ洗濯をしていたのだが、モブのスネアのあまりの硬質さにアドレナリンが出てしまい、洗濯をほったらかして「UP NORTH TRIP」とつぶやきながら、パッドでシングル・ストローク。良い休日。夜はきりたんぽ鍋を食った。

10月29日
珍しく昼からスタジオでバンド練習。立教大学のライブは長いので、古い曲を練習したりする。夕刻に皆は帰ったが、一人居残ってYOUTUBEを観つつコピーしたり、「露西亜まで飛んでゆけ」と叫びながらシンバルでフリスビーの練習をしたり、「スリラー」のゾンビ・ダンスを解析したりしていたら、いつの間にか夜だった。外に出ると、なるほど晩秋の風が吹いている。パーカーを羽織ってするすると環状7号線へ。早稲田通りから小道に入ると、赤い首輪をつけた黒猫がこちらに警戒の眼差しを向けている。走り去る俺に、「ニャア」という別れの挨拶が聞こえた。
昨日に続いてきりたんぽ鍋を食い、血液が胃に集中して頭が働かない状態で、「MURDER SCENE togashi dub」を聴く。最高に格好良い。TOKYO DUB並に良い。・・・さて、AXN観て寝るかな。

10月30日
外は晴れていたが、昨日に比べるとまた寒くなったようだ。泥棒事件から今のアパートには嫌気が差しているので、新しい部屋を探しに不動産屋へ。店に入ると、店員の視線が一瞬上へ泳いだ後、何もなかったように「いらっしゃいませ!」とスマイル。はて?と思ったが、そういえば自分の頭がモホーク・スタイルだったことを思い出し納得する。
「何故モヒカンにしたの?」と、会う人会う人に訊かれ、特に理由もないので、「反社会的態度の表明として」、「禿げてきた額の形を活かそうと思って」「「タクシー・ドライバーを観たので」「鳥になりたい」など、その場で思いついたことを言うようにしているが、気の利いたパンチ・ラインは即興ではなかなか思いつかないものだ。フリー・スタイルの上手い奴はやっぱりすごいなー。フリースタイルと言えば、学生時代の友人がDeeJayで、先日彼が出場したバトルを観たのだが、これがとても面白かった。持ちネタと即興を混ぜつつ、セレクターとその場で呼吸を合わせながら観客をロックしようとするChuck Moris。ライターをかざす俺。一月くらい前の話ですな。
不動産屋を出てから、適当に飯を済ませてスタジオへ。ハ羅の友人が見守る中、練習したり喫煙したりしてぐだぐだと過ごした後、皮裂キと共に自転車で夜の裏道を走る。雑談しながら抜いたり抜かれたり、タイヤを滑らせたりしつつ自宅付近に着くと、「それでは私は36度線を越えてきます」と言って、彼は走り去っていった。お気に入りのラーメン屋がうちの近くにあるらしい。その後寄ったブック・オフの100円コーナーで、フードラムのアルバムを発見し購入。家に帰って聴きつつ、フミヤ氏繋がりで「I am not a DJ」も聴く。Animal Attack!

10月31日
昼過ぎに家を出て、曇天の下をゆるゆると走る。ソウル・スクリームの15丁目を頭の中で歌いながら。EGG MAN とSHIKI のバースを未だに全部覚えている自分に気付く。スタジオにて緑のたぬきを啜り上げた後、地味に練習。連日の来スタジオにアレルギー反応の出始めているハ羅と皮裂キは、「桶狭間の戦いって永禄三年だっけ?」と問い、俺が考え込んでいる間に姿を消してしまっていた。その後、荒イと政治談義。まるで立ち飲み屋のように。今年もあと2ヶ月ですな、そうですな、などと言い合っているうちに神無月は終わっていくのであった。