Diary

2009.2.12009/2

木暮です。
少し前にPCが壊れた。前々から自分は短気な人間だと自覚していたところはあったが、フリーズした画面を見つめながら俺が取った行動はあまりにも前時代的なもので、まずキーボードのあらゆるキーをバディー・リッチよろしく激しく連打。すると何故かデスクトップ画面のアイコンがすべて消えた。マウスでクリックできる場所は左下のスタートボタンしかなく、「ちっ」と舌打ちしつつ一度クリックしたが、何も起こらない。もう一度クリック、クリック・・・そのスピードは不機嫌をアピールする癇症の金融屋のように速くなり、前腕の筋力の限界と共に俺のストレスも限界に達し、右足にて筺体へ全力で蹴り込む事3発、即座にコンセントを引き抜き、「馬鹿が」とつぶやきその場を去った。馬鹿は自分である。冒頭、「PCが壊れた」と書いたのは、「PCを壊した」の間違いです。窓を開けるとまだまだ肌寒いが、陽光はどことなく春の息吹を感じさせるのであった・・・。

俺はジャンク・フードと呼ばれているものが好きだ。起き抜けに「おつまみベビースター(ピーナッツ入り)」を口中にざざっと流し込むこともあるし、「一味足りないな」などとつぶやきつつ、餡かけ中華ソバにブルドックソースをかけまわしたりする。駄菓子屋の味がするからだ。昔、モックオレンジのメンバーと、「これから一生、一つの料理しか食えないことになったら何を食って生きていくか」という下らない話をしていた時、即座に「フレンチフライ」と答えた俺に対し、その場にいた米人全員が一瞬唖然とし、そして爆笑していた。ヒース曰く「オーゥ、フレンチフラーイ、ユークレイジーマザファカー!HA、HAHAHAHAHAー!」
然し俺は、上方料理の薄い味付けも好きだ。生野菜には塩もかけない。煮物など出汁と酒で上手く炊いてあれば十分である。まだ学生だったころにローディーの鈴木タケシがうちに遊びに来て、図々しくも腹が減ったとほざくので、そのころ俺が常食していた「ゆでたパスタに塩を少しかけた一皿」を山盛りにして出してやったら、一口食って「お前、これ味がしねえぞ」と笑い出したのには閉口した。調理した俺から言わせれば、デュラム・セモリナ粉の風味と旨みを少量の塩で引き出した一品なのである。鈴木は生まれも育ちも江戸の下町なので、麺があったら生醤油一瓶ぶっ掛けて食う家庭で育ったのだろうと、本人には言わないが今でも思っている。

即興音楽というものはとても生々しいので、聴き手は想像力を働かせやすい反面、琴線にかすりもしないものは音楽に聴こえない。ノイズの中からセンチメンタルなメロディーを聴き取ってしまう時も、キーとなる2、3の音階を脳が誤聴した結果なのかもしれませんね、さようなら、と脳内で故・淀川長治氏が囁く。久々に観たDOLCEのライブ中盤、エフェクト音が交錯するステージで、ツカサ君はドラムを叩いていた。ドラマーのリョウはギターの弦を擦っている。俺はドラム演奏を練習したことがない人が叩く音が好きだ。エフェクターのシステムを一切わかっていない体のリョウが、ようやく一音を発した。刺激的な場面だった。

ロング・スケールが解散した。全員号泣の泣き濡れたラスト・ステージ、などではなく彼等らしい飄々としたライブ。彼らの音楽を感傷的に聴き直そうと思っても、ローディーのタケシが日常的に「君がいた~」と口ずさみやがるので、まだそんな必要はなさそう。老後の楽しみに取っておきます。
打ち上げでは気恥ずかしく、メンバーとあまり喋れなかった。今度酒場で会ったら一杯おごるよ。