Diary

2009.12.12009/12

木暮です。

11月某日
急に寒くなったと思ったら、また少し暖かい日が続いていて気持ちがいい。スタジオまで自転車で通るいつもの道のりも、新しい季節の表情を見せ始めた。ダンプカーが数台路上駐車されている倉庫で働いている金髪の青年が、紺色のTシャツの上にオリーブグリーンのMA-1を羽織っていた。
16時に家を出て、ステップ・アップの事務所を通り過ぎる。この辺りで環七の空が夕焼けに染まっていたなら、高円寺陸橋の交差点でライトを点ける。そのくらい日が短くなった。

11月某日
高速道路を走っていると、バンドのマイスペースをせっせと運営してくれている女の子から電話。開口一番、「YO!コグレイ?いまエリック・ワイナイナさんにかわるね!」と、意図を量りがたいことを言ってくるので、昼間から酩酊してるのか、こいつ!と一瞬不安になったのだが、「どうもーエリックです、ありがとうございますー」と、流暢な日本語で電話口に現れたのはエリック・W氏本人であった。状況を飲み込めないままに、勝手に曲名にしちゃってすいません、今度飯でも食いましょう、そんな短い会話を交わして友人に替わってもらう。友人はこちらが今高速道路を走行中であることを知ると、気を使ったのかいきさつを何も語らず、すぐに電話を切ってしまった。だから未だに何が何だかよくわからない。白昼夢のような出来事であった。

12月某日
ツアーまでに新曲やりたいね、そうだね、などと語らうスタジオの階段兼喫煙スペースも冷え込むようになってまいりました、師走。
年末の忙しない街の雰囲気、餅にバター、塩。正月野郎 A.K.A. 日本酒を舐める猫・・・と支離滅裂に浮かれたくなるほど、この時期の空気が好きなのです。

12月某日
ツアーは始まってしまったのであった。新曲は間に合わず・・・しかし、各々の脳内でイメージは熟成されていくであろう、と願いたい。
長野、仙台はやはり寒かった。名古屋、大阪はまだ割と暖かかった。タイミングの問題かな?
そして大勢の人が観に来てくれて、本当にありがたい事です。ありがとう。
行く先々で日記を更新してください or DIE、とたくさんの人たちに言われる。前回書いたのは5月だから半年以上更新していなかったことになるが、何故か夏くらいからPCの電源を入れることが億劫で、キーボードを叩くくらいなら「ねるねるねるね」でも練っていた方がましだぜ!或いは蕎麦屋で日本酒と黄色い衣の江戸前の天麩羅で一杯、という謎の心境だったのでしょうがない。しかし友人から、J・PeriodのQ-Tip音源ミックステープをメールで送っておいたよ、との連絡があったので久々にメールなどチェックしつつ、こうして駄文したためるに至る。

12月某日
一日休みだったので「坂の上の雲」「The WIRE」「白い巨塔」などを、廃人のように観続ける。湖池屋のポテトチップスのりしお味を、ぱりりと食いながら。
子供の頃、スナック菓子を食った手でファミコンのコントローラーを握り、ボタンが油にまみれた事が何故かトラウマになっており、ポテトチップスなどは今でも箸で食ってしまうのである。夕景、友人に借りたジャズ・ミュージシャンのドキュメントを観てしまったことにより、地元のスタジオに、「個人練習10分後から入りたいんですけど」という、せっかちな江戸っ子に憧れた薄ら馬鹿のような電話をかけ、「今日は一杯ですね」と冷静に断られる。
煙草を吸いつつ、ツアー中に買った音楽たちを聴く。MOTOR CITY DRUM ENSEMBLE。久し振りに好きな感じのハウスを見つけたなー、と換気扇の下で膝を上下させたりする。NICE VIEW。洗練と野蛮。勢い余って13の景色も取り出し、見る。チーズをかけたフレンチフライを、食う。苦沙味先生曰く、「空間に生れ、空間を究め、空間に死す。空たり間たり天然居士、噫」。

12月某日
新潟でライブ。5年間風邪さえ引いていない健康優良なアラ尉君がライブ前から体調を悪くしており、本編終了後の楽屋で「背中が痛すぎる」と一言つぶやき「明日のジョー」化してしまった。レアな光景である。それでもアンコールで1曲。
この日は泊まらずに東京へ戻ったのだが、帰り道の雪がひどく、東京育ちのもやしっ子である僕達はチェーンの着脱や低速走行に四苦八苦しつつ、普段の倍の時間をかけて明け方に帰京。雪の日の運転って楽しくない?という謎の発言をする皮裂キ。途中のパーキングで、ジャンケンに負けたハ羅君の背中に雪の塊を入れてはしゃぐタイチとユキオ。THE 冬。

その12時間後、新代田FEVERにて太郎ちゃん、三浦カメラ、グッチ君と再会し、ジョージの8弦ギターがナビゲートする旅に出る。出会った頃は家も電話も無かったグッチ君が携帯番号も住所も獲得しており、その事に地味に驚いていると、閑散としたフロアに鳴り出す音楽。ファンキーに始まったJIN氏のDJ終盤、ムーディーマンからURは最高によかった。そのまま9DWの演奏を堪能。後でわかったのだが、ベースを弾いていたのはホルスタインの金田君であった。9DWを観に来ていたライターの小野田さんとたまたま再会して、GirlsやLA周辺のレーベルの話、夜に遊ぶ人が減ってて、だけど逆に変な奴が多くて面白い、みたいな話をした。帰宅は午前6時半。

その12時間後、吉祥寺のWARPでWiennersのTOKYO HOLI に出演。物販で古着にプリントされたTシャツを強奪。8年位前にWARPでやった時は、チャック・モリスがやってたREPOMANというハードコア・バンドと、江古田のボヘミアン集団・GINZAも一緒に出ていた。両バンドとも今はもういない。
ステージ上では、ハイ・ピッチにチューニングしたゼルコバの高音が最初から全く自分に聞こえないという不思議な現象が起きて、ガレージ・バンドのような気分で演奏。楽しかった。APRICOT、HOSOME、Wienners、全てのバンドを飴を舐めつづけながら観た後、しつこく打ち上げまで参加。瓶のモルツを流し込みながら禁煙中のマナブに煙草を吸わせようとする。モルツを6本空け、さて帰ろうとした時に、HOSOMEのナカジマ君に割と真面目な質問をされ、脳内で酔いどれ天使の虚言と理性がハードにぶつかり合う。Wienners は来年アルバム出すらしいので楽しみ。
その後、おとなしく帰ればいいのに、何故か事務所近くの居酒屋でヒロシとたけしと飲む。「物販が箱ごと盗まれた」と嘘をついて宮下とポテ(クソ野郎)を呼び出すヒロシ。レッドブルサワー。翌朝目を覚ますと、僕は事務所のソファーで寝ており、床ではたけしと宮下が寝ていた。BOBO君が言っていた「何を喋ったか全然覚えてないんだけど、とにかく楽しかった、みたいな夜が一番楽しいよね」という言葉を思い出しながら、日曜日の地下鉄に乗って帰る。

12月某日
渋谷のクアトロでツアーファイナル。リハまでに時間があったので、近くのユニオンで KING OF DIGGIN’ の新しいヤツとプレミア先生の元ネタミックス、先日小野田さんから勧められた ZEN LA ROCK 氏の新譜等を買う。シンセとベースの音が、真夜中の人がいない中央区みたいな感じでカッコよい。DAM FUNK!向井さんがプロデュースしたポチョムキン氏の曲もアーバンな感じだったなー・・・と、色々試聴を続けていて、リハに、遅刻。
久し振りのクアトロはとても演奏しやすく、燃える。平日にも関わらず遊びに来てくれた皆さん、本当にありがとう。
今日起きたら明らかに喉が痛くて、ハ羅君直伝のコーラうがいをしてからこれを書いています。復調するまではおとなしくしていようと思う。この風邪をこじらせちまったら、年末年始が楽しめないからな!それでは皆様、よいお年を。